ストーカーの心理を解説 ストーカー行為に手を染める人の特徴
なぜストーカーはストーカーになってしまうのでしょうか?
好意を持った相手や嫌悪する相手に対し、強い執着を持ってつきまとい続けてしまうストーカー。
大抵の場合、彼・彼女らが、最初からストーカーなわけではありません。
今回は、なぜ人がストーカー行為を始めてしまうのか、その理由を解説していきます。
ストーカーの心理が知りたい、という方は本記事をぜひ参考にしてみてください。
ストーカーの心理とは?
ストーカーの心理は様々な専門家によって分析が試みられています。
今回は、オーストラリアのモナシュ大学法精神医学教授で、ヴィクトリア法精神医学研究所メディカル・ディレクターでもあるミューレン医師によるストーカーの心理分析をご紹介していきます。
ミューレン医師によると、ストーカーの心理は、大きく以下の5つに分類されます。
1 親密追求型
親密追求型とは、自分と相手が恋愛関係にある、という妄想にとりつかれた状態です。
「自分はストーカーなどではなく、愛し合っている恋人同士なのだ」と思い込んでいるため、「そのストーカー行為をやめろ」と、犯人を説得することはとても難しいのです。
実際は恋愛関係にはない相手であるとか、被害者は嫌がっているし怖がっているから接触をやめるように、と説得したところで、親密追求型の場合は効果はほとんどありません。
それどころか、「愛し合っているのになぜ会えないのだろうか、もしかして、誰かがふたりの仲を引き裂こうとしているのだろうか」といった妄想が膨らみ、逆恨みをしてより深刻な問題に発展するケースさえあります。
2 無資格型
無資格型とは、端的にあらわすと、相手の立場に立って考えることができず、自らの欲求を一方的に押し付けるタイプのストーカーです。
相手の立場に立って考えることができないので、自分の行為が相手に不快な思いをさせている、ということを理解しようとしません。
このタイプは、一方的に求愛行動を繰り返し、相手がその愛に応えてくれないとみると、逆上して攻撃に転じる場合もある危険なストーカーです。
自分の要求が通らないことに勝手に憤り、結果的に、暴力や性暴力に発展する危険性があるのです。
3 憎悪型
憎悪型のストーカーはターゲットに嫌がらせすることで、相手を支配しているという満足感を得ようとします。
一方的にターゲットを恨んでストーキング行為をすることもあるため、この型の被害者はストーカー当人と面識がなかったり身に覚えがないことも少なくありません。
ストーカーの方も、「自分より良い車に乗っている」など勝手な被害妄想でターゲットを選ぶことがあるため、ストーカー当人もターゲットをよく知らないということもあります。
4 拒絶型
拒絶型とは、元恋人、元配偶者に捨てられた、拒絶されたという意識から出発するストーカーのことです。
拒絶型のストーカーは、フラれたことを認められない、もしくはそのことによりプライドが傷つけられたと感じ、そこからストーカーに転じます。
何とかヨリを戻したいという一心で相手につきまとうケースもあれば、自分を捨てた相手を許せず、制裁を加えてやりたいという理由で、過激な行為に走るケースもあります。
5 略奪型
略奪型とは、性的に被害者をいたぶることを目的にしていて、その手段としてストーキングを行っているストーカーのことです。
レイプ犯などによく見られ、基本的にこの型は男性です。
なぜ人はストーカーになってしまうのか
次に、普通の人がストーカーになってしまう理由についても確認しておきましょう。
1 相手を好きな気持ちを理性で押さえることができない
相手のことが好きすぎて、頭ではダメだとわかりつつも理性を抑えることができずに、ストーカーに転じてしまうケースは多いです。
何かに夢中になると周りが目に見えなくなるようなタイプの人によく見られます。
一方的な片想いをしている人や、別れた相手との復縁を願う人は、自分がストーカーにならないように注意する必要があります。
2 想いが満たされなかったことにより憎悪に反転する
自分の欲求が満たされないことは間違っている、という幼稚な考えから、ストーカーになってしまう場合もあります。
好意を抱く相手に自分の想いを拒絶されたり、社会生活の中で思い通りにできないことがあると、その事に異常な怒りを感じてしまい、ストーカー行動を始めてしまうのです。
プライドが高い人がこのケースに陥りやすいです。
3 周りの邪魔さえなければこの恋は実るはずだと思い込む
「相手も自分のことが好きなはず。結ばれないのは、周囲のやつらが邪魔しているから。」
「周りは邪魔をするが、相手はきっと自分に助けられ恋人になりたいと思っている。」
という勝手極まりない被害妄想にとりつかれ、ストーカー行為を激化させるパターンもあります。
恋愛経験が少ない人や、普段から思い込みが激しい人はこのケースに転じやすいです。
4 相手を自分の思い通りにしたい
相手をどうにかして自分の思い通りにしたいという思いから、ストーカー行為を開始してしまうケースもあります。
自分以外に対する支配欲求の発露と言えますが、相手が望んでいる場合はともかくとして、そこに正当性はありません。
自己中心的で、相手を支配・束縛しようとするタイプに多いです。
5 相手が手に入らないのならすべておしまい、いっそ傷つけてしまおうと思う
相手が自分のものにならないなら、もう何もかも終わりだ。
どうなってもいいから、いっそ傷つけてしまいたい。
自分以外と付き合うのなら、心中してでも邪魔したい。
いずれ忘れられるよりは、恐怖の対象でもよいので覚えていてほしい。
…このように、失恋による絶望や、とんでもない願望から、攻撃的なストーカー行為を開始するパターンもあります。
自分はその人と結ばれるために生きているんだ、という強い恋心が執着心へと変わると、危険な思考に発展してしまうのです。
まとめ
ストーカー行為は犯罪です。
かつては世間の理解が浅く、痴話喧嘩であると片付けられがちでしたが、現在ではストーカー規制法も施行されて長くなり、人を傷つける可能性の高いものであると認められるようになりました。
ストーカーに及んでしまうのは、本人の性格の問題ではなく、精神疾患が関係しているという見方もあります。
しかし、自分の執着が精神疾患に基づくものだと自ら気づくのは、並大抵の難易度ではありません。
また、ストーカー被害に遭っている方には、その区別も意味はないでしょうから、まずは警察や弁護士に相談してみましょう。
万が一、自らの執着が異常だ、と思い当たる節のある方は、一度周囲の信頼できる人に相談することをおすすめします。
そうであっても、ストーカー本人が自身の疾患や問題に気づくのは簡単なことではありません。
もしあなたがストーカー被害に遭っているのだとしたら、相手に諭すことは困難だと考えた方がいいでしょう。
まずは警察や弁護士などに相談してください。
また、もしあなたが自らの執着心を不安に感じたり、思い当たる節があるのなら、医師など信頼できる人に相談することをオススメします。