どこからが痴話喧嘩とDVの境界線か正しく知ろう

どんな行為がDVに該当する?DVにあたる身体的・精神的な暴力


ドメスティック・バイオレンスを略してDVといいますが、これは親しい間柄(夫婦、恋人など)間の暴力のことを言います。


DVには、精神的暴力も、肉体的暴力も含まれます。DVの被害者は、「これはちょっとした喧嘩だ。これはDVではない」と自分の被害を矮小化しがちです。

しかし、DVを放置していると、大変なことになります。


自己肯定感が低くなり、相手のいいなりになり、果ては暴力によって殺されてしまうケースもあります。
配偶者間の暴力によって亡くなる人が毎年一定数の人数がいることを考えると、DVは、たかが痴話喧嘩、と片付けてはならないことだと言えるでしょう。


今回は、DVに該当する行為にはどういったものがあるのか解説していきます。

下記の行為を受けている方は、DVを受けていると自覚し、親しい信頼できる人に相談してみましょう。


身体的DV


DVといえば、身体的暴力だ、と考える人もいるでしょう。 ここでは、身体的暴力にはどういったものかを解説します。


1 叩く、蹴る

叩いたり、蹴ったりするのはまぎれもないDVです。

傍目に見ても、DVをする側の故意がはっきりとわかる直接的な暴力ですので、DVとして最もイメージしやすいものかと思います。


2 物を使って叩く

物を使って叩いたり、物を投げつけたりすることもDVです。
直接手を触れて殴ったりするのではなくても、相手に怪我を負わせたり怖がらせるような行為は暴力です。


3 突き飛ばす

小突いたり、突き飛ばすのもDVです。
突き飛ばした側は「はずみで押してしまっただけ」と言い訳をするかもしれませんが、相手を突き飛ばす意思があったのなら、これもれっきとした暴力になります。


4 つねる

つねる、という行為もDVです。
つねられた側は、少し強めのじゃれ合いだとか、相手の悪意は感じ取っていてもこれくらいでは暴力とは言えないと思いがちですが、痛いとか嫌だと感じたならばそれはDVと言えます。


精神的DV


直接的には暴力をふるわなくても、精神的な暴力(モラル・ハラスメント、略してモラハラと言われることもある)があればDVとなります。


1 殴るフリ

実際に殴らなくても、殴るふりをするだけでも相手に恐怖を与えることはできます。
身体的には害を与えていなくても、相手の心に害を与える行為は、精神的暴力と言えます。


2 罵倒する

相手のことを罵倒するのもDVのひとつです。相手の悪口を言い浴びせたり、相手の失敗や欠点を叱る際も必要以上に声を荒げるというような行為は、DVであり、健全なコミュニケーションではありません。


3 馬鹿にする

おまえは本当にばかだ、何もできない、弱い、頭がわるい、俺(私)がいないと生きていけない、など、相手をバカにすることもDVです。
馬鹿にされた側は自尊心をことごとく傷つけられ、本来感じる必要のない劣等感や罪悪感を感じるようになってしまいます。


4 物を投げる・物を壊す

直接相手に向けて何か言ったりしなくても、家の中の物を壊したり、物を投げたり、わざと大きな音をたてて扉を閉めるなどして、相手を威圧することも、精神的DVの代表例です。


5 無視する

話しかけているのに、無視し続けることもDVになります。
夫婦喧嘩の過程で一時的に無視する場合もありますが、必要以上に相手を無視し続けることは、相手の心に大きな傷を与える精神的暴力と言えます。


性的DV


DVには性的暴力も含まれます。夫婦や恋人であっても、同意のない性行為は暴力に当たります。


1 避妊しない

避妊をする、という合意のもとセックスしているはずが、コンドームをこっそりはずしたりする行為はDVです。


また、相手の希望を聞き入れず避妊しないままセックスするのもDVです。
中には、子供を作ることで相手を束縛しようというつもりでセックスを強要する人もいます。


2 性的同意を得ず、性行為をする

避妊の有無に関わらず、セックスしたくないと言っているのに、無視したり無理やりしたりするのも、れっきとした性暴力です。
夫婦や恋人同士だからといって、相手の合意なく一方的にセックスをしていいわけではありません。


3 嫌がっても性行為の撮影をする

嫌がっているのに性行為の撮影をしたり、撮影したものを使って脅したり、無断で他人に見せたりすることは、性的DVに当たります。


性行為中のものだけでなく、裸の写真などを無理やり撮ったり撮らせたりするのもDVです。


社会的隔離


DVの加害者は、被害者を社会的に孤立させ、より支配しやすくしようともくろみます。

1 メールなどのやりとりをチェック

相手に届いたメールなどをチェックして、交友関係を把握しようとしてきたり、相手が友達と交流することにいやな顔をするなどして、相手のプライバシーをに踏み込み邪魔をするような行為も、DVに当たります。


2 監視する

スマホにGPSを仕込む、逐一連絡を入れるように命令するなど、相手を監視する行為もDVに当たります。ひどい場合には、相手の持ち物に盗聴器を仕込んだり、自宅の中に監視カメラを仕掛けたりして、相手の行動や発言の全てを把握しようとするケースもあります。


3 行動を制限する

生活に必要な買い物以外は外出を禁止したり、お洒落をすることや友人と連絡を取ることを禁止するなど、相手の行動を制限し自由を奪うことも、DVになります。

そうして相手を社会的にも精神的にも孤立させるのです。


経済的DV


経済的においつめるパターンのDVもあります。


1 仕事をさせない

働きたいと言っているのに、「恥をかかせるな」「家事・育児は誰がするんだ」「お前は家の中の事だけやっていればいいんだ」などといい、働くことを阻止しようとしてくるのは経済的暴力です。


2 生活費を渡さない

専業主婦(夫)家庭にも関わらず、収入を得ている側が、家事を担っている側に、生活費を支払わないことは、DVだとみなされます。
夫婦には生活扶助義務があります。お互いがお互いの生活を支える必要があるにも関わらず、その義務を拒否するということは、あってはなりません。


さいごに

今回は、どこからがDVになるのか、について解説してきました。


こんなこともDVだとみなされるの? と驚かれた方もいるのではないでしょうか?
もし、自分が少しでもDVを受けているかもしれない、という疑惑があるならば、まずは親しい人に相談してみましょう。


逃げる場所がない、という方は、警察などに相談し、避難用のシェルターを紹介してほしいと伝えてみましょう。
ひとりで悩んでいるだけでは、取り返しがつかないことになってしまいかねませんから、まずは、第三者に助けを求める工夫をしましょう。


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